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ISMS Marketing Science Conference 2025にて口頭発表を行いました

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地域特性を考慮した店舗選択モデルの新手法に関する発表を実施

2025年6月13〜15日にアメリカ・ワシントンD.C.で開催されたマーケティングサイエンス分野の世界トップカンファレンス「ISMS Marketing Science Conference 2025」にて、株式会社博報堂DYホールディングスの研究開発部門であるマーケティング・テクノロジー・センターの研究員が口頭発表を行いました。

ISMS Marketing Science Conferenceとは

ISMS Marketing Science Conferenceとは、INFORMS Society for Marketing Science(ISMS)が主催する、マーケティングサイエンス分野における世界最大級の学術会議です。毎年約1,000人の世界トップクラスのマーケティング研究者や実務家が集まり、マーケティング課題に対する科学的研究について議論します。

第47回となる2025年大会は、6月13〜15日にアメリカ・ワシントンD.C.のThe Westin Washington, DC Downtownで開催(現地開催のみでオンライン併用なし)されました。プログラムの詳細はこちらをご覧ください。

発表について

タイトル

Geospatial Huff: a Spatially-Varying Huff Model for Improved Store Choice Analysis
and Micro-Region Marketing

発表者

安永 遼真(株式会社博報堂DYホールディングス マーケティング・テクノロジー・センター)

概要

消費者の店舗選択行動を説明する古典的な手法としてHuffモデルがありますが、全ての地域で距離による影響度を一律に扱うという強い制限がありました。しかし実際には、都市部と郊外部では移動手段や生活様式が異なるため、距離に対する消費者の感度は地域によって大きく異なると考えるのが自然です。

そこで本研究では、地域ごとに異なる距離減衰パラメータを導入した「Hierachical Huffモデル」を提案します。これにより、消費者の店舗選択行動をより精緻に捉えることが可能になります。

千葉県柏市のドラッグストア来店データを用いた実証分析を実施し、提案モデルが従来モデルを一貫して上回る予測精度を示しました。また、推定結果と地域特性(駅からの距離や世帯構成など)の関係について、一定の理論的妥当性を確認しました。

この手法により、各地域の特性に応じた店舗展開など、効果的・効率的なマイクロエリアマーケティングの実現が期待されます。

発表時間

2025年6月15日 9:14 AM – 9:36 AM(現地時間)

本研究の意義

本研究成果は、消費者の店舗選択行動を精緻に捉えることで、小売業界における店舗立地戦略や地域マーケティング戦略の高度化に貢献するものです。特に、地域ごとの特性を考慮した予測モデルにより、未観測地域での店舗パフォーマンス予測精度の向上や、地域特性に基づいたターゲティング戦略の策定が可能となります。

今後は、より広範囲なデータでの検証や、地理的相関関係を明示的に組み込んだモデルの開発を進め、実用性の更なる向上を目指してまいります。