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第20回日本感性工学会春季大会にて優秀発表賞を受賞しました

研究成果

「自由エネルギー原理を用いた動画広告の視聴者感情モデリング」
についての発表が優秀発表賞を受賞

株式会社博報堂DYホールディングスの研究開発部門であるマーケティング・テクノロジー・センター所属の研究員が、第20回日本感性工学会春季大会(JSKE20s)において、優秀発表賞を受賞いたしました。
「JSKE20s」は、日本感性工学会が開催しており、感性工学を中心に感性計測や定量化に関する手法開発、心理学等諸領域にわたる学術的研究、さらに研究成果の事業化や産業化検討などの発表が行われました。受賞した「クリエイティブ評価」に関する研究成果は、マーケティング・テクノロジー・センター所属の研究員と、東京大学大学院工学系研究科 柳澤秀吉 准教授との共著による発表です。
今後も、感性工学の進展を促進し、企業と学術界との連携を強化していく方針です。特に、次世代技術を駆使した顧客体験の向上を目指し、「クリエイティブ評価」に関する研究をさらに深めていきます。

受賞論文タイトル:
自由エネルギー原理を用いた動画広告の視聴者感情モデリング

概要:
動画広告における視聴者の感情推定の重要性が高まっており、その実現により視聴者のUX及び広告効果が高い動画広告がどのような感情を与えているかを明らかにし、感情と対応づく広告表現の探索が容易になります。これらの知見は、動画広告制作におけるPDCAの高速化につながります。
本研究では、大規模な動画広告データに対して、広告効果に関連する画像特徴をVLM(Vision Language Model)を用いて抽出しました。そして、時系列の画像特徴を入出力とした生成モデルと、人の知覚・学習・行動を説明する自由エネルギー原理を活用し、視聴者の感情(快さ、驚き、慣れ)を推定する新たな方法を提案しました。
食品ジャンルの15秒間の動画広告に対し、シーン毎の感情を推定し、各感情に対応する表現パターンを分析しました。分析の結果、1枚の静止画で複数の画像特徴を持つ複雑な構図が驚きを高め、シンプルな構図が快さを高める可能性があることが示唆されました。

さらに、約1000通りの動画広告を用いて、代表感情指標を基に動画のクラスタリングを行った結果、驚きと快さが混在したパターンや片方のみのパターンに分かれました。また、驚きのシーンを使用するタイミングは多様であることが示唆されました。

■ 第20回日本感性工学会春季大会 優秀発表賞